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Chapter 103 of 122

正法眼藏第三 袈裟功徳 · 3

答曰、墮地獄便墮(地獄に墮さば便ち墮すべし)。

諸貴婦女笑之言、地獄受罪、云何可墮(地獄にては罪を受く、云何が墮すべき)。

比丘尼言、我自憶念本宿命時、作戲女、著種種衣服而説舊語。或時著比丘尼衣、以爲戲笑。以是因緣故、迦葉佛時、作比丘尼。時自恃貴姓端正生憍慢、而破禁戒。破禁戒罪故、墮地獄受種種罪。受畢竟價釋迦牟尼佛出家、得六神通阿羅漢道(比丘尼言く、我れ自ら本宿命の時を憶念するに、戲女と作り、種種の衣服を著して舊語を説きき。或る時比丘尼衣を著して、以て戲笑と爲しき。是の因緣を以ての故に、迦葉佛の時、比丘尼と作りぬ。時に自ら貴姓端正なるを恃んで憍慢を生じ、而も禁戒を破りつ。禁戒を破りし罪の故に、地獄に墮して種種の罪を受けき。受け畢竟りて釋迦牟尼佛に値ひたてまつりて出家し、六神通阿羅漢道を得たり)。

以是故知。出家受戒、雖復破戒、以戒因緣故、得阿羅漢道。若但作惡無戒因緣、不得道也。我乃昔時世世墮地獄、從地獄出爲惡人。惡人死還入地獄、都無所得。今以證知、出家受戒、雖復破戒、以是因緣可得道果(是れを以ての故に知りぬ。出家受戒せば、復た破戒すと雖も、戒の因緣を以ての故に、阿羅漢道を得。若し但だ惡を作して戒の因緣無からんには、道を得ざるなり。我れ乃ち昔時、世世に地獄に墮し、地獄より出でては惡人爲り。惡人死しては還た地獄に入りて、都て所得無かりき。今以て證知す、出家受戒せば、復た破戒すと雖も、是の因緣を以て道果を得べしといふことを)。

この蓮花色阿羅漢得道の初因、さらに他の功にあらず。ただこれ袈裟を戲笑のためにその身に著せし功徳によりて、いま得道せり。二生に迦葉佛の法にあふたてまつりて比丘尼となり、三生に釋迦牟尼佛にあふたてまつりて大阿羅漢となり、三明六通を具足せり。三明とは、天眼宿命漏盡なり。六通とは、神境通、他心通、天眼通、天耳通、宿命通、漏盡通なり。まことにそれただ作惡人とありしときは、むなしく死して地獄にいる。地獄よりいでてまた作惡人となる。戒の因緣あるときは、禁戒を破して地獄におちたりといへども、つひに得道の因緣なり。いま戲笑のため袈裟を著せる、なほこれ三生に得道す。いはんや無上菩提のために淸淨の信心をおこして袈裟を著せん、その功徳、成就せざらめやは。いかにいはんや一生のあひだ受持したてまつり、頂戴したてまつらん功徳、まさに廣大無量なるべし。

もし菩提心をおこさん人、いそぎ袈裟を受持頂戴すべし。この好世にあふて佛種をうゑざらん、かなしむべし。南州の人身をうけて、釋迦牟尼佛の法にあふたてまつり、佛法嫡嫡の祖師にむまれあひ、單傳直指の袈裟をうけたてまつりぬべきを、むなしくすごさん、かなしむべし。

いま袈裟正傳は、ひとり祖師正傳これ正嫡なり、餘師の肩をひとしくすべきにあらず。相承なき師にしたがふて袈裟を受持する、なほ功徳甚深なり。いはんや嫡嫡面授しきたれる正師に受持せん、まさしき如來の法子法孫ならん。まさに如來の皮肉骨髓を正傳せるなるべし。おほよそ袈裟は、三世十方の諸佛正傳しきたれること、いまだ斷絶せず。三世十方の諸佛菩薩、聲聞緣覺、おなじく護持しきたれるところなり。

袈裟をつくるには麁布を本とす、麁布なきがごときは細布をもちゐる。麁細の布、ともになきには絹素をもちゐる、絹布ともになきがごときは綾羅等をもちゐる。如來の聽許なり。絹布綾羅等の類、すべてなきくにには、如來また皮袈裟を聽許しまします。

おほよそ袈裟、そめて靑黄赤黒紫色ならしむべし。いづれも色のなかの壞色ならしむ。如來はつねに肉色の袈裟を御しましませり。これ袈裟色なり。初祖相傳の佛袈裟は靑黒色なり、西天の屈眴布なり、いま曹溪山にあり。西天二十八傳し、震旦五傳せり。いま曹谿古佛の遺弟、みな佛衣の故實を傳持せり、餘僧のおよばざるところなり。

おほよそ衣に三種あり。

一者糞掃衣、二者毳衣、三者衲衣

なり。糞掃は、さきにしめすがごとし。毳衣者、鳥獸細毛、これをなづけて毳とす。

行者若無糞掃可得、取此爲衣。衲衣者、朽故破弊、縫衲供身、不著世間好衣(行者若し糞掃の得べき無からんには、此を取りて衣を爲るべし。衲衣は、朽故破弊したるを、縫衲して身に供ず。世間の好衣を著せざれ)。

具壽鄔波離、請世尊曰、大徳世尊、僧伽胝衣、條數有幾(具壽鄔波離、世尊に請ひたてまつりて曰さく、大徳世尊、僧伽胝衣は條數幾か有る)。

佛言、有九。何謂爲九、謂(佛言はく、九有り。何を謂つてか九と爲る、謂ゆる)、

九條、十一條、十三條、

十五條、十七條、十九條、

二十一條、二十三條、二十五條。

其僧伽胝衣、初之三品、其中壇隔、兩長一短、如是應持。次三品、三長一短、後三品、四長一短。過是條外、便成破衲(其の僧伽胝衣、初の三品は、其の中の壇隔は兩長一短なり、是の如く持すべし。次の三品は三長一短、後の三品は四長一短なり。是の條を過ぐるの外は、便ち破衲と成る)。

鄔波離、復白世尊曰、大徳世尊、有幾種僧伽胝衣(鄔波離、復た世尊に白して曰さく、大徳世尊、幾種の僧伽胝衣か有る)。

佛言、有三種、謂上中下。上者豎三肘、横五肘。下者豎二肘半、横四肘半。二内名中(佛言はく、三種有り、謂ゆる上中下なり。上は豎三肘、横五肘。下は豎二肘半、横四肘半。二の内を中と名づく)。

鄔波離白世尊曰、大徳世尊、嗢咀羅僧伽衣、條數有幾(鄔波離、世尊に白して曰さく、大徳世尊、嗢咀羅僧伽衣、條數幾か有る)。

佛言、但有七條、壇隔兩長一短(佛言はく、但だ七條のみ有りて、壇隔兩長一短なり)。

鄔波離、白世尊曰、大徳世尊、七條復有幾種(鄔波離、世尊に白して曰さく、大徳世尊、七條復た幾種か有る)。

佛言、有其三品、謂上中下。上者三五肘、下各減半肘、二内名中(佛言はく、其れに三品有り、謂ゆる上中下なり。上は三五肘、下は各半肘を減ず、二の内を中と名づく)。

鄔波離白世尊曰、大徳世尊、安咀婆裟衣、條數有幾(鄔波離、世尊に白して曰さく、大徳世尊、安咀婆裟衣、條數幾か有る)。

佛言、有五條、壇隔一長一短(佛言はく、五條有り、壇隔一長一短なり)。

鄔波離白世尊曰、大徳世尊、安咀婆裟衣有幾種(鄔波離、世尊に白して曰さく、大徳世尊、安咀婆裟衣幾種か有る)。

佛言、有三、謂上中下。上者三五肘、中下同前(佛言はく、三有り、謂ゆる上中下なり。上は三五肘、中下は前に同じ)。

佛言、安咀婆裟衣、復有二種。何爲二。一者豎二肘、横五肘。二者豎二、横四(佛言はく、安咀婆裟衣、復た二種有り。何をか二と爲す。一は豎二肘、横五肘。二は豎二、横四なり)。

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正法眼藏第三 袈裟功徳 · 3 · Shōbōgenzō (Treasury of the True Dharma Eye) — Dōgen · The Conscious Library