Chapter 95 of 122
正法眼藏第一 出家功徳 · 1
龍樹菩薩言、
問曰、若居家戒、得生天上、得菩薩道、亦得涅槃。復何用出家戒(問うて曰く、居家戒の若きは、天上に生ずることを得、菩薩の道を得、亦た涅槃を得。復た何ぞ出家戒を用ゐんや)。
答曰、雖倶得度、然有難易。居家生業、種種事務。若欲專心道法家業則癈、若專修家業道事則癈。不取不捨、能應行法、是名爲難。若出家、離俗絶諸忿亂、一向專心行道爲易(答へて曰く、倶に得度すと雖も、然も難易有り。居家は生業、種種の事務あり。若し道法に專心せんと欲へば、家業則ち癈す、若し家業を專修すれば道事則ち癈す。取せず捨せずして能く應に法を行ずべし、是れを名づけて難と爲す。若し出家なれば、俗を離れて諸の忿亂を絶し、一向專心に行道するを易と爲す)。
復次居家、憒鬧多事多務。結使之根、衆罪之府、是爲甚難。若出家者、譬若有人出在空野無人之處、而一其心、無心無慮。内想既除、外事亦去。如偈説(復た次に居家は、憒鬧にして多事多務なり。結使の根、衆罪の府なり、是れを甚難と爲す。出家の若きは、譬へば、人有りて、出でて空野無人の處に在りて、其の心を一にして、心無く慮無きが若し。内想既に除こほり、外事亦た去りぬ。偈に説くが如し)。
閑坐林樹間、寂然滅衆惡(林樹の間に閑坐すれば、寂然として衆惡を滅す)、
恬澹得一心、斯樂非天樂(恬澹として一心を得たり、斯の樂は天の樂に非ず)。
人求富貴利、名衣好牀褥(人は富貴の利、名衣、好牀褥を求む)、
斯樂非安穩、求利無厭足(斯の樂は安穩に非ず、利を求むれば厭足無し)。
衲衣行乞食、動止心常一(衲衣にして乞食を行ずれば、動止、心、常に一なり)、
自以智慧眼、觀知諸法實(自ら智慧の眼を以て、諸法の實を觀知す)。
種種法門中、皆以等觀入(種種の法門の中に、皆な以て等しく觀入す)、
解慧心寂然、三界無能及(解慧の心寂然として、三界に能く及ぶもの無し)。
以是故知、出家修戒行道、爲甚易(是れを以ての故に知りぬ、出家して戒を修し行道するを、甚易なりと爲す)。
復次出家修戒、得無量善律儀、一切具足滿。以是故、白衣等應當出家受具足戒(復た次に出家して戒を修すれば、無量の善律儀を得、一切具足して滿ず。是れを以ての故に、白衣等應當に出家して具足戒を受くべし)。
復次佛法中、出家法第一難修(復た次に佛法の中には、出家の法第一に修し難し)。
如閻浮呿提梵志問舍利弗、於佛法中、何者最難(閻浮呿提梵志の舍利弗に問ひしが如き、佛法の中に、何者か最も難き)。
舍利弗答曰、出家爲難(出家を難しと爲す)。
又問、出家有何等難(出家には何等の難きことか有る)。
答曰、出家内樂爲難(出家は内樂を難しと爲す)。
既得内樂、復次何者爲難(既に内樂を得ぬれば、復た次に何者をか難しと爲す)。
修諸善法難(諸の善法を修すること難し)。
以是故應出家(是れを以ての故に、應に出家すべし)。
復次若人出家時、魔王驚愁言、此人諸結使欲薄、必得涅槃、墮僧寶數中(復た次に若し人出家せん時、魔王驚愁して言く、此の人は諸の結使薄らぎなんず、必ず涅槃を得て、僧寶の數中に墮すべし)。
復次佛法中出家人、雖破戒墮罪、罪畢得解脱、如優鉢羅華比丘尼本生經中説(復た次に佛法の中の出家人は、破戒して墮罪すと雖も、罪畢りぬれば解脱を得ること、優鉢羅華比丘尼本生經の中に説くが如し)。
佛在世時、此比丘尼、得六神通阿羅漢。入貴人舍、常讃出家法、語諸貴人婦女言、姉妹、可出家(佛在世の時、此の比丘尼、六神通阿羅漢を得たり。貴人の舍に入りて、常に出家の法を讃めて、諸の貴人婦女に語りて言く、姉妹、出家すべし)。
諸貴婦女言、我等少壯、容色盛美、持戒爲難、或當破戒(諸の貴婦女言く、我等少壯して、容色盛美なり、持戒を難しと爲す、或いは當に破戒すべし)。
比丘尼言、破戒便破、但出家(戒を破らば便ち破すべし、但だ出家すべし)。
問言、破戒當墮地獄、云何可破(戒を破らば當に地獄に墮すべし、云何が破すべき)。
答言、墮地獄便墮(地獄に墮さば便ち墮すべし)。
諸貴婦女笑之言、地獄受罪、云何可墮(諸貴婦女、之を笑つて言く、地獄にては罪を受く、云何が墮すべき)。
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