Chapter 109 of 122
正法眼藏第五 供養諸佛 · 1
佛言、
若無過去世(若し過去世無くんば)、
應無過去佛(應に過去佛無かるべし)。
若無過去佛(若し過去佛無くんば)、
無出家受具(出家受具無けん)。
あきらかにしるべし、三世にかならず諸佛ましますなり。しばらく過去の諸佛におきて、そのはじめありといふことなかれ、そのはじめなしといふことなかれ。もし始終の有無を邪計せば、さらに佛法の習學にあらず。過去の諸佛を供養したてまつり、出家し、隨順したてまつるがごとき、かならず諸佛となるなり。供佛の功徳によりて作佛するなり。いまだかつて一佛をも供養したてまつらざる衆生、なにによりてか作佛することあらん。無因作佛あるべからず。
佛本行集經言、
佛告目犍連、我念往昔、於無量無邊諸世尊所、種諸善根、乃至求於阿耨多羅三藐三菩提(佛、目犍連に告げたまはく、我れ往昔を念ふに、無量無邊の諸の世尊の所に於て、諸の善根を種ゑ、乃至阿耨多羅三藐三菩提を求めき)。
目犍連、我念往昔、作轉輪聖王身、値三十億佛。皆同一號、號釋迦。如來及聲聞衆、尊重承事、恭敬供養、四事具足。所謂衣服、飮食、臥具、湯藥。時彼諸佛、不與我記、汝當得阿耨多羅三藐三菩提、及世間解、天人師、佛世尊、於未來世、得成正覺(目犍連、我れ往昔を念ふに、轉輪聖王の身と作りて、三十億の佛に値ひたてまつりき。皆な同じく一號にして、釋迦と號けき。如來及び聲聞衆まで、尊重し承事し、恭敬し供養して四事具足せり。所謂る衣服、飮食、臥具、湯藥なり。時に彼の諸佛、我れに記を與へて、汝、當に阿耨多羅三藐三菩提を得、及び世間解、天人師、佛世尊として、未來世に於て、正覺を成ずることを得べしとしたまはざりき)。
目犍連、我念往昔、作轉輪聖王身、値八億諸佛。皆同一號、號燃燈。如來及聲聞衆、尊重恭敬、四事供養。所謂衣服、飮食、臥具、湯藥、幡蓋、華香。時彼諸佛、不與我記、汝當得阿耨多羅三藐三菩提、及世間解、天人師、佛世尊(目犍連、我れ往昔を念ふに、轉輪聖王の身と作りて、八億の諸佛に値ひたてまつりき。皆な同じく一號にして、燃燈と號けき。如來及び聲聞衆まで、尊重し恭敬して、四事供養せり。所謂る衣服、飮食、臥具、湯藥、幡蓋、華香なり。時に彼の諸佛、我れに記を與へて、汝、當に阿耨多羅三藐三菩提を得、及び世間解、天人師、佛世尊たるべしとしたまはざりき)。
目犍連、我念往昔、作轉輪聖王身、値三億諸佛。皆同一號、號弗沙。如來及聲聞衆、四事供養、皆悉具足。時彼諸佛、不與我記、汝當作佛(目犍連、我れ往昔を念ふに、轉輪聖王の身と作りて、三億の諸佛に値ひたてまつりき。皆な同じく一號にして弗沙と號けき。如來及び聲聞衆まで、四事供養し、皆な悉く具足せり。時に彼の諸佛、我れに記を與へて、汝、當に作佛すべしとしたまはざりき)。
このほかそこばくの諸佛を供養しまします。轉輪聖王身としては、かならず四天下を統領すべし、供養諸佛の具、まことに豐饒なるべし。もし大轉輪王ならば、三千界に王なるべし。そのときの供佛、いまの凡慮はかるべからず。ほとけときましますとも、解了することをえがたからん。
佛藏經淨見品第八云、
佛告舍利弗、我念過世、求阿耨多羅三藐三菩提、値三十億佛。皆號釋迦牟尼。我時皆作轉輪聖王、盡形供養及諸弟子、衣服、飮食、臥具、醫藥、爲求阿耨多羅三藐三菩提。而是諸佛、不記我、言汝於來世、當得作佛。何以故。以我有所得故(佛、舍利弗に告げたまはく、我れ過世を念ふに、阿耨多羅三藐三菩提を求めて、三十億の佛に値ひたてまつりき。皆な釋迦牟尼と號けき。我れ時に皆な轉輪聖王と作りて、形を盡くすまで、諸弟子に及ぶまで、衣服、飮食、臥具、醫藥を供養せり、阿耨多羅三藐三菩提を求めんが爲なりき。而も是の諸佛、我れを記して、汝、來世に於て當に作佛することを得べしと言はざりき。何を以ての故に。我れ有所得なりしを以ての故なり)。
舍利弗、我念過世、得値八千佛。皆號定光。時皆作轉輪聖王、盡形供養及諸弟子、衣服、飮食、臥具、醫藥、爲求阿耨多羅三藐三菩提。而是諸佛、不記我汝於來世、當得作佛。何以故。以我有所得故(舍利弗、我れ過世を念ふに、八千佛に値ひたてまつることを得たり。皆な定光と號けき。時に皆な轉輪聖王と作りて、形を盡くすまで、諸弟子に及ぶまで、衣服、飮食、臥具、醫藥を供養せり、阿耨多羅三藐三菩提を求めんが爲なりき。而も是の諸佛、我れを汝、來世に於て當に作佛することを得べしと記したまはざりき。何を以ての故に。我れ有所得なりしを以ての故なり)。
舍利弗、我念過世、値六萬佛。皆號光明。我時皆作轉輪聖王、盡形供養及諸弟子、衣服、飮食、臥具、醫藥、爲求阿耨多羅三藐三菩提。而是諸佛、亦不記我汝於來世、當得作佛。何以故。以我有所得故(舍利弗、我れ過世を念ふに、六萬佛に値ひたてまつりき。皆な光明と號けき。我れ時に皆な轉輪聖王と作りて、形を盡くすまで、諸弟子に及ぶまで、衣服、飮食、臥具、醫藥を供養せり、阿耨多羅三藐三菩提を求めんが爲なりき。而も是の諸佛、亦た我れを汝、來世に於て、當に作佛することを得べしと記したまはざりき。何を以ての故に。我れ有所得なりしを以ての故なり)。
舍利弗、我念過世、値三億佛。皆號弗沙。我時作轉輪聖王、四事供養、皆不記我。以有所得故(舍利弗、我れ過世を念ふに、三億佛に値ひたてまつりき。皆な弗沙と號けき。我れ時に轉輪聖王と作りて、四事供養せしも、皆な我れを記したまはざりき。有所得なりしを以ての故なり)。
舍利弗、我念過世、得値萬八千佛。皆號山王、劫名上八。我皆於此萬八千佛所、剃髪法衣修習阿耨多羅三藐三菩提、皆不記我。以我有所得故(舍利弗、我れ過世を念ふに、萬八千佛に値ひたてまつることを得たり。皆な山王と號け、劫を上八と名づけき。我れ皆な此の萬八千佛の所に於て、剃髪法衣して阿耨多羅三藐三菩提を修習せしに、皆な我れを記したまはざりき。有所得なりしを以ての故なり)。
舍利弗、我念過世、得値五百佛。皆號華上。我時皆作轉輪聖王、悉以一切、供養諸佛及諸弟子、皆不記我。以有所得故(舍利弗、我れ過世を念ふに、五百佛に値ひたてまつることを得たり。皆な華上と號けき。我れ時に皆な轉輪聖王と作りて、悉く一切を以て、諸佛及び諸弟子を供養せしも、皆な我れを記したまはざりき。有所得なりしを以ての故なり)。
舍利弗、我念過世、得値五百佛。皆號威徳。我悉供養、皆不記我。以有所得故(舍利弗、我れ過世を念ふに、五百佛に値ひたてまつることを得たり。皆な威徳と號けき。我れ悉く供養せしも、皆な我れを記したまはざりき。有所得なりしを以ての故なり)。
舍利弗、我念過世、得値二千佛。皆號憍陳如。我時皆作轉輪聖王、悉以一切、供養諸佛、皆不記我。以有所得故(舍利弗、我れ過世を念ふに、二千佛に値ひたてまつることを得たり。皆な憍陳如と號けき。我れ時に皆な轉輪聖王と作りて、悉く一切を以て諸佛を供養せしも、皆な我れを記したまはざりき。有所得なりしを以ての故なり)。
舍利弗、我念過世、値九千佛。皆號迦葉。我以四事、供養諸佛及諸弟子衆、皆不記我。以有所得故(舍利弗、我れ過世を念ふに、九千佛に値ひたてまつれり。皆な迦葉と號けき。我れ四事を以て、諸佛及び諸弟子衆を供養せしも、皆な我れを記したまはざりき。有所得なりしを以ての故なり)。
舍利弗、我念過去、於萬劫中、無有佛出。爾時初五百劫、有九萬辟支佛。我盡形壽、悉皆供養衣服、飮食、臥具、醫藥、尊重讃嘆。次五百劫、復以四事、供養八萬四千億諸辟支佛、尊重讃嘆(舍利弗、我れ過去を念ふに、萬劫の中に於て、佛の出でたまふこと有ること無し。爾の時に初めの五百劫に、九萬の辟支佛有りき。我れ盡形壽に、悉く皆な衣服、飮食、臥具、醫藥を供養して、尊重し讃嘆しき。次の五百劫に、復た四事を以て、八萬四千億の諸の辟支佛を供養し、尊重し讃嘆しき)。
舍利弗、過是千劫已、無復辟支佛。我時閻浮提死、生梵世中、作大梵王。如是展轉、五百劫中、常生梵世作大梵王、不生閻浮提。過是五百劫已、下生閻浮提、治化閻浮提、命終生四天王天。於中命終、生忉利天、作釋提桓因。如是展轉、滿五百劫生閻浮提、滿五百劫生於梵世、作大梵王(舍利弗、是の千劫を過ぎ已りて、復た辟支佛無し。我れ時に閻浮提に死して、梵世の中に生れて大梵王と作りき。是の如く展轉して、五百劫の中に、常に梵世に生れ大梵王と作りて、閻浮提に生ぜず。是の五百劫を過ぎ已りて、閻浮提に下生して、閻浮提を治化して、命終して四天王天に生れき。中に於て命終して忉利天に生れ、釋提桓因と作りき。是の如く展轉して、五百劫を滿てて閻浮提に生れ、五百劫を滿てて梵世に生れ、大梵王と作りき)。
舍利弗、我於九千劫中、但一生閻浮提、九千劫中、但生天上。劫盡燒時、生光音天。世界成已、還生梵世。九千劫中生、都不生人中(舍利弗、我れ九千劫の中に、但だ一たび閻浮提に生れ、九千劫の中に、但だ天上にのみ生る。劫盡きて燒けし時、光音天に生る。世界成じ已りて、還た梵世に生る。九千劫の中の生、都て人中に生れざりき)。
舍利弗、是九千劫、無有諸佛、辟支佛、多諸衆生墮在惡道(舍利弗、是の九千劫に、諸佛、辟支佛有ること無く、諸の衆生の惡道に墮在するもの多かりき)。
舍利弗、是萬劫過已、有佛出世。號曰普守如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛世尊。我於爾時、梵世命終生閻浮提、作轉輪聖王。號曰共天。人壽九萬歳。我盡形壽、以一切樂具、供養彼佛及九十億比丘。於九萬歳、爲求阿耨多羅三藐三菩提。是普守佛亦不記我汝於來世、當得作佛。何以故。我於爾時、不能通達諸法實相、貪著計我有所得見(舍利弗、是の萬劫過ぎ已りて、佛有りて出世したまひき。號けて普守如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛世尊と曰ふ。我れ爾の時に於て、梵世に命終して閻浮提に生れ、轉輪聖王と作りき。號けて共天と曰ふ。人壽九萬歳なりき。我れ盡形壽に、一切の樂具を以て、彼の佛及び九十億の比丘を供養せり。九萬歳に於て阿耨多羅三藐三菩提を求めんが爲なりき。是の普守佛も亦た我れを汝、來世に於て、當に作佛することを得べしと記したまはざりき。何を以ての故に。我れ爾の時に、諸法實相に通達すること能はず、計我、有所得の見に貪著したればなり)。
舍利弗、於是劫中、有百佛出、名號各異。我時皆作轉輪聖王、盡形供養及諸弟子。爲求阿耨多羅三藐三菩提。而是諸佛亦不記我汝於來世、當得作佛。以有所得故(舍利弗、是の劫の中に、百佛有りて出でたまひ、名號各異なりき。我れ時に皆な轉輪聖王と作りて、形を盡くすまで供養すること、諸弟子に及べり。阿耨多羅三藐三菩提を求めんが爲なりき。而も是の諸佛も亦た我れを汝、來世に於て當に作佛することを得べしと記したまはざりき。有所得なりしを以ての故なり)。
舍利弗、我念過世、第七百阿僧祇劫中、得値千佛。皆號閻浮檀。我盡形壽四事供養、亦不記我。以有所得故(舍利弗、我れ過世を念ふに、第七百阿僧祇劫の中に、千佛に値ひたてまつることを得たり。皆な閻浮檀と號けき。我れ盡形壽に四事供養せしも、亦た我れを記したまはざりき。有所得なりしを以ての故なり)。
舍利弗、我念過世、亦於第七百阿僧祇劫中、得値六百二十萬諸佛。皆號見一切儀。我時皆作轉輪聖王、以一切樂具、盡形供養及諸弟子、亦不記我。以有所得故(舍利弗、我れ過世を念ふに、亦た第七百阿僧祇劫の中に、六百二十萬の諸佛に値ひたてまつることを得たり。皆な、見一切儀と號けき。我れ時に皆な轉輪聖王と作りて、一切の樂具を以て、形を盡くすまで供養すること諸弟子に及びしも、亦た我れを記したまはざりき。有所得なりしを以ての故なり)。
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